イルゼ・ブラッシ「たのしいステッチ STITCHES & SAMPLERS」
刺繍の希少本の紹介です。
著者のイルゼ・ブラッシは昭和初期の時代、フランス刺繍を広く日本に紹介した人です。
ドイツ人と日本人の間に生まれ、日本で育ち ヨーロッパ刺繍の知識を幅広く教え、そのお弟子さんたちも多数その刺繍を受け継ぎ フランス刺繍のすそ野を広げ活躍しています。
本もたくさん出していらっしゃるようですが、その中で特にステッチに特化した解説書である 上記の「たのしいステッチ」を紹介します。
と言っても どの本もすでに絶版で手に入れることは困難です。私も持っているのは、母親が持っていた本のコピーで実物は手にしたことがありません。欲しかったのですが、中古市場で4000円~10000円もするので高額すぎて手が出ませんでした。
そんな本をあえて紹介するのもおかしな話ですが、この本がとても素晴らしくて、現在でも充分刺繍をしている人たちの役に立つ本だと思うからです。そしてこの記事を読んで興味を持たれた方がいれば、図書館で見つけて私のようにコピーできたらと思いました。
内容はフランス刺繍の基本的なステッチ、およびその応用の刺し方の本です。グルーブ別にあらゆる種類の刺し方が記載されています。
私は刺繍の本もよく目を通しますが、これほどきちんと整理されていてたくさんのステッチの載っている本は見たことがありません。その他にも区限刺繍(クロスステッチやハーダンガー、などのクロス生地を使う刺繍の仲間)カットワークのステッチ、縁飾り、と 140ページ分ぎっしりと詰まったステッチの辞典のようで、この一冊でわからない刺し方はないと言えるほどの内容です。
私がイルゼブラッシさんの本で見たことがあるのはこの一冊だけですが、表紙の昭和レトロな感じと比べ、中身はちっとも色あせていない内容です。この本がもう手に入らないのが本当に残念です。時代が変わっても技術の基本は変わらないと改めて感じました。
↑ 私が持っているコピーです。大切にしているのですが、段々文字が薄くなっていくようで心配してます。