表紙のデザインやタイトルからして、ほんわか系の短編小説なのか?と思いながら読み始めましたが、内容は全く違って辛口な話でした。面白かったです。
一穂ミチ著 短編小説「スモールワールズ」
作者の一穂ミチ、ツンデミックで2024直木賞を取った方で、他の本も本屋大賞や直木賞の候補に挙がっています。
6編の短編集で、それぞれの主人公は
ネオンテトラ 子供のいない主婦、ご主人の浮気も知っているけど言わない。
魔王の帰還 身長183㎝の気弱な弟と188㎝の出戻ってきた姉、大きな優しい兄弟
ピクニック 大切な愛する孫を過失で死なせてしまったおばあちゃん
花うた 二人暮らしの兄を殺された妹とその加害者の青年
愛を適量 離婚して一人暮らしの高校教師と突然やってきた性同一性障害の娘
式日 何年振りかで合った先輩と後輩(一作目のネオンテトラにリンクします)
どの話も主人公をあげただけでも訳ありな人たちで辛口な話ですが、優しさが底にあり心に突き刺さってきました。文章力でしょうか、話はスピーディーな展開で最後は度肝を抜かす終わり方あり、ほろりとさせたり、と飽きさせません。
特に4作目の花うたが良かったです。話は往復書簡の形で進められ、その手紙文がとても良くて、わずかな手紙のやりとりだけなのに主人公の心の変化が伝わり心を揺さぶられました。
最後の加害者の青年の書いた童話?で号泣でした (^^♪